甘い麦

共働きで年子の兄弟を育てる記録。主に仕事と家事育児の両立について。

【子どもの写真】『一般家庭における写真データ記録媒体の有効性についてー5年後の検証からー』

2014年(5年以上前)に、子どもの写真管理方法について書きました。

amaimugi.hatenablog.com

 

時は移ろい!元号は変わり!'10年代も過去となった!

そこで、写真データを保存した様々な記録媒体(CD-Rなど)が、5年後も問題なく使用できたか?を検証したいと思います。

なお今回は、論文形式でお送りします(単に自分がやりたいから)

 

『一般家庭における写真データ記録媒体の有効性についてー5年後の検証からー』

アマイムギ, 2020

1. はじめに

現在は外付けHDDに保存しているが、写真データは蓄積する一方なので、年ごとに記憶媒体に保存してパソコンからは消去して行きたい。しかしどの媒体を使うべきか決めかねていて、まだ実行できていない。

アマイムギ(2014)は写真データの保存について上記のように考え、リスク分散の観点から、以下の8種類の媒体にデータを保存した(図1参照)。

①パソコン

②CD-R

③SDカード(mini SD、マイクロSDを含む。)

USBメモリ

⑤外付けHDD

スマートフォン

クラウドサービス(5年前にはなかったが、途中から利用開始)

⑧フォトブック(紙媒体)

f:id:acoatacy:20200113231932j:image

(図1 各記録媒体)

 

本研究では、各記録媒体の5年後の有効性(使用可否)を検証したい。なお、各記録媒体の保存状況は一般家庭レベル(=専門的な温湿度管理は行っていない)であることを予めお断りしておく。

 

2.結果

①ノートパソコン★☆☆☆☆

容量不足により、ソフトウェアがアップデートできなくなった。そうなるとセキュリティ上、重要データの保存先として不向きとなり、買い替えたパソコンで作業・保存するようになった。パソコンは、作業(写真管理・フォトブック作成)を行うためには必要だが、データ保存媒体としては不向きである。

 

②CD-R☆☆☆☆☆

論外。ドライブに挿入しても無反応であった。最近、ディスクが「腐敗する」現象が報告されていること*1を踏まえても、大切なデータを保存するのには不適当と言えるだろう。

死にゆく者の体内に...データが入ったのなら...そいつの生命とともに...データもそいつの死にひっぱられる...

 

③SDカード*2★★☆☆☆

複数あるカードのうち、一部は接続部分の劣化が目視確認され、使用できなかった。

 

USBメモリ*3☆☆☆☆☆

複数のパソコンで読み取りを試みたが、いずれも「フォーマットして下さい」との画面表示が出て使用できなかった。

 

⑤外付けHDD★★★★★

5年後も問題なく使用することができた。USBメモリやSDカードと比較して、接続部分の劣化リスクが比較的少なく、データ保存に適していると考えられる。

 

スマートフォン★★☆☆☆

機種変更のたびにデータ移行が必要となる*4。端末間の写真データ移行は、容量の大きさから数時間もかかる。頻繁な機種変更を考えると、データ保存媒体としては不向きである。

 

クラウドサービス★★★★☆

機種変更時の手間や、端末の故障等に伴うデータ紛失リスクを回避できる。しかし、写真データは容量が大きいため、無料ストレージでは足りず月々の課金が必要である。「多少のコストを払っても確実にデータを保存したい」のであれば、(現時点において)データ保存の方法として適しているかもしれない。

※ただし、アカウントを共有しておかないと自分の消滅とともにデータも消滅する

 

⑧フォトブック(紙媒体)★★★★★

見やすさ、保存性において最強。

電子媒体は劣化を避けられないほか、たとえ劣化しなくてもMDやフロッピーディスクのように再生機器自体が入手できなくなると、中身にアクセスできなくなる恐れがある(「MDにせっせと録音して、もう再生できないあの曲、この曲ッ...!」という悔しい思いを、もう二度としたくない)。その点、紙であれば悠久の時を越えて、いつでも・いつまでもアクセスできる。

アマイムギ(2014)はこのように述べているが、これを支持する結果が得られた。

 

3.考察

本研究の結果から、紙媒体の強みが改めて確認されるとともに、データ形式のまま保存し続けることの困難性が浮き彫りとなった。すなわち、データには、

・ハードの物理的な劣化・故障

・ソフトウェアのアップデート不可に伴うセキュリティリスクの増加

・記録媒体の乗換(機種変更など)に伴うデータ移行の煩雑さ

といったリスクが付き纏う。

写真をデータ形式のみで保持する場合、

数種類の記録媒体を使用してリスク分散すること

②データ保存後も放置せず定期的にアクセス・最新の媒体に乗り換えること

が必要である。特に②については、クラウドサービスやアプリサービスが知らないうちに終了していた*5といったリスクを回避するためにも、定期的なアクセスが必要である。

このような定期的メンテナンスを煩わしいと感じる場合、紙媒体での保存が望ましいだろう。

 

4.本研究の限界

今回は、データ保存から5年経過後の各記録媒体の有効性について検証した。

歴史上、紙以外の保存媒体の有効性はほとんど証明されておらず*6、今後、さらなる経年変化により各記録媒体の有効性が変わる可能性は否めない。

 

5.おわりに

生きるという事はきっと「思い出」を作る事なのだ… それを失うこと…それだけが怖い

 

 

*1:例えば、https://www.vice.com/jp/article/vbp48b/the-hidden-phenomenon-that-could-ruin-your-old-discs

*2:データ保存後は使用せず、5年間保管していたものである。

*3:2に同じ。

*4:筆者は5年の間に2回機種変更している。

*5:筆者は家計簿アプリのサービス終了による家計データの喪失を経験している。

*6:あとは木簡くらい